私の実家から東京への交通機関は高速バスしかありません。
今年はありがたいことに、行きは渋滞なし、帰りは1時間渋滞ほどで帰宅出来ました。
中央自動車道に乗って通常4時間の道のりは、お盆、正月、GWなどの季節の渋滞はなかなかのものです。
何年か前に帰省した時には7時間以上かかったこともあり、ただでさえ電車やマイカーに比べてバスは狭くて周りの方々との距離が近いのですごく疲れます。
一体いつ到着するのか先の見えない状態というのは当然ながら不安で嫌な気分になります。
そのようなことを考えた時、入院時に読んだ本の言葉をふと思い出します。
アウシュビッツ強制収容所に収容されていた心理学者フランクルの体験記から
「心の中の宝物は、この世のどんな力をもっても奪えないのだ。」
心理学者フランクル氏は強制収容所でどのような強制労働や理不尽な暴行、劣悪な環境、ガス室に送られてしまう恐怖、そんな場所に置かれていても
それぞれの心の中にある大切なものまでは、どんな力でも奪い取れないと記していました。
そしてそんな環境に身をおいても尚、フランクル氏は自分の高貴な人間性を高め続けていたというお話です。
白血病で先の見えない長期入院をしていた私には、かなり響いた言葉でした。
入院生活は4人部屋か2人部屋です。「なんで俺ばかりこんな目に」イライラを大好きであるはずの家族に撒き散らしている方を何人も見てきました。
この方は崇高なはずの自分の大切なものを、治るか治らないかも分からない病気によって、いとも簡単に奪われてしまったのです。
当時の私はイライラや怒りを発したことがあったかと妻に聞いたところ、何年もの入院期間の中で数回しかなかったとのことで、妻に対する感謝と謝罪の念が込み上げてきてしまいました。
高速道路が渋滞してイライラ大騒ぎして怒ってしまったとしたら、それはあなたの大切な楽しい気分が渋滞した高速道路によって、いとも簡単に奪われてしまったということです。
理不尽なことを言う上司に腹を立ててしまったら、あなたの純粋な理念がその上司によって簡単に奪われてしまったということです。
いじめられたり、脅されたり、嫌な事を言われたり、その度に自分の大切なものを奪われていたとすると
もしかすると既にあなたの守る自分の大切なものはすっかり奪われて、何も残っていないように感じるかもしれません。
しかし絶対にそれはないのです。
何故かといえば、私たちはは「楽しく生きていたい」と無意識に願っており
その証拠は私たちは今しっかりと生きているということです。
自分のなかにいる自分自身という相棒と親密な関係が築けており、相棒と一緒に自分の心の中の宝物をしっかりと守って高めていることが出来ていれば、
どんな逆境や試練や理不尽なことが自らを襲ったとしてもなんともないでしょうし、落ち着いて笑顔さえこぼれているかもしれません。
そういう場面にもし私たちが出くわしてしまった時、イラっとしたり怒りがこみ上げてきた時は少し落ち着いて、一呼吸おいて、こう考えてみましょう。
「人生を楽しみたい」という私の心の宝物をいま投げ出してしまうのか?
怒ったりイライラしているときは「楽しい」気分ではありませんよね。
楽しい人生を生きていきたい。
私たちはシンプルで当たり前の事をしっかりと携えて毎日楽しく行きましょう。
ありがとうございました。