はじっこを揃えたり、バラバラなものをまとめたり、スパッとまっすぐだと気持ちがいいですよね。
建物がフラフラ曲がっていたらなんか恐ろしいし、道路が曲がっていたらちょっと困ってしまいます。
整理して秩序良くキレイに揃えて並べて、たてよこまっすぐにちゃんとして、それが良いこととされています。
しかしながら、自然界にはまっすぐなものがないそうです。
本当に信じられないことですが、水平線も地平線も丸い。まっすぐに見えているものも、必ず曲がっている。
大空に向かってそびえ立つ針葉樹も、キレイな動物の柄も、まっすぐなところなど全くなく、私たち人間の身体も自然のものですので、もちろんまっすぐなものなどありません。
真っ直ぐなものとは、人間が作り出したものだけかもしれません。(顕微鏡で見ればガタガタだとか、細かい話は抜きで)
ビルもマンションも窓ガラスも道路も本も机も、きちんと真っ直ぐ。
もともとは曲がっている素材を加工して、真っ直ぐで、直角で、整理して秩序良くキレイに揃えて並べて、ちゃんとしています。
それを使う私たちの体は、直線は無く、すべて曲がっており、まるで整列していないというのに。
様々な植物が折り重なっている雑木林、海に沈む夕日の美しさ、険しい山々の姿、ぽっこり浮かぶダイナミックな雲、自然の中を流れる川のせせらぎと流れ。
そんな自然の姿は、ただそこにあって誰も手を入れなくて、まるで整理されていなくて、一つも真っ直ぐなものがないというのに、あんなに人を惹きつけ、落ち着かせ、安らがせてくれます。
何かを管理する人は、整理して秩序良くキレイに揃えて並べて、ちゃんとしたい。責任もあるし良いことだし気持ちがいい。
職場を管理する、家や部屋を管理する、子供を管理する、建物を管理する、都市を管理する、人を管理する。
そしてそこには管理される人やモノがある。
曲がったモノは、管理する人によって真っ直ぐにされてしまいがちです。
様々な植物が折り重なっている雑木林や、海に沈む夕日の美しさや、ぽっこり浮かぶダイナミックな雲や、自然の中を流れる川のせせらぎと流れ。
もしこれらの自然を管理する「腕利きの達人」がいるとするなら、どのような人かと考えてみますと、何もしない人なのではないのでしょうか。
「そのままでいいよ」と。
いままでの時代は、どれだけパシッと真っ直ぐにするかという時代でしたが、これからの時代はそれぞれ一つ一つ違う、デコボコが楽しい時代に移っていく気がします。
一つの面から見た正しさだけではなくて、それぞれの良さと正しさを認め、それを面白いと感じるような。
みんな同じに揃っているより、いろいろあったほうが面白そうですね。
ありがとうございました。