今年の夏はウクレレ教室ガズレレの仲間たちと老人ホームやデイサービスなどの施設に出向いてライブ演奏をする機会に恵まれています。
私自身、今まで色々な場所でライブをしてきましたが、実はこういった場所で演奏するのは今年の夏が人生初でした。
演奏する曲目は、もちろんお客様であるご老人たちが一緒に歌えるような曲をみんなで相談して決めています。
私たちのチームの中にも70歳を過ぎた大先輩がいらっしゃってくれますので、この曲いいんじゃない?これはみんな知っていますよ!と曲を決めていきます。
たくさんの童謡、青い山脈、ああ上野駅、瀬戸の花嫁、他にもたくさんのヴィンテージソングをマスターして練習し本番を迎えます。
そういった場所でのコンサートではメンバー一人一人にマイクを立てられませんので、ウクレレの生音とナマの声で演奏しますので、つまり、かなり大声でないと80人いるお客さんに聴こえない!そして、トークもすごーくゆっくり話さないと聞き取れないということ。
もちろん一緒に演奏するメンバーは私以外ほとんど人前で歌ったこともない方々。ウクレレを始めたことでこういったイベントに出演者として立つなんて信じられない!といったような雰囲気。
もう緊張しまくっているのです。
練習中に私がいつも言っているのは
「コンサートでは私たちが主役です。みんながこちらを見ていますので余裕たっぷりで楽しみましょう!楽譜を見続けていてはダメですよ~できるだけ顔を上げてお客さんの目を見ることで、大きな声が自然に出ますから~」
いよいよコンサートが始まり、演奏が始まる。
若かりし頃に聴いていた、昔懐かしい曲がお年寄りの心に染み込んでいく。
ふと見まわすと、涙を流している方、大声で笑顔で歌ってくれる方、手拍子を打って応援してくれる方、ただただ食い入るように見つめてくれている方。色々なスタイルで、その人の状態で楽しんで聴いてくれています。
すると演奏しているこちらも、なんだかすごく感動してきて、私がふと横を見るとメンバーが泣きながら歌っている。
メンバーの女性がとっさに機転を利かせ、歌詞を一歩先に読みあげると、みんなそれに続いて歌い始め、さらに盛り上がっていく。
音楽はやはりすごいなー。
メロディーとリズムと歌詞、たった3つのこの要素が混ざり合って、かつて元気でイキイキして弾けて恋して、辛かったり悲しかったりした記憶が一気に目の前によみがえって広がる。
あの情景を、いま目の前ににあるように思い出すことができる。そんな音楽の力を全身で感じます。
こうしてお年寄りたちが、まぶたを閉じてあの感覚をもう一度味わっている姿を見ていると少し考えさせられます。
いま、こうして、ここで、私たちが最高に楽しんでいることこそ、いずれ目をつむって思い出すことなのだということ。
このような場所でお年寄りの皆さんと、音楽によって触れ合えたことで、そんなことを、ふと感じ、そしてまた、私が白血病治療でたいへんだった頃に自分が何を考えていたか思い出しました。
私たちが、いま、こうして、ここで、どういう状態なのか?
それがいずれ思い出すコトそのものなのです。
先延ばしにしている人は「先延ばしにしてきた人生」
楽しんでいる人は「楽しんだ人生」
大変だった人は「大変だった人生」
最高だった人は「最高だった人生」
そして今日これから、新たに結成されたチーム「中野ガズレレ団」の初ライブ!元気に老人ホームへ向かいます!
ありがとうございました。