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2015/04/21

春菊がキライだった少年は

若くてイケイケの頃、街に出てぶらぶらしている時に
オープンカフェの外でコーヒーやビールを飲んでくつろいでいる人たちを見て   「あの人たちは何を勘違いしてあんなに目立つところでお茶を飲むのを見せびらかせているんだろう」   なんて言っていたのを思い出します。   そして今は、オープンカフェでビール飲んで、コーヒー飲むことが私の大好きなことに変わりました。   海外に行った時にその気分の良さを知って、それが当たり前になったのでした。   高校生の頃に夢中になって憧れた音楽は、もうそれは激しいものでした。   エレキギターの音がズンズンくるヘッドバンギングなヤツです。   その時の気分は「生ぬるい音楽がチャラチャラ流行に乗って流れている中で、本当の音楽はこれだぜ!」という感覚。   それが今ではウクレレ弾いてリラックスミュージック大好き、分かりやすさ優先の楽しくやりたいモノに変わりました。   激しい音楽が嫌いになったのではなく、もっと好きなものが出てきたということ。   エレキギターを始めた中学生の頃に、ギター雑誌を眺めながら、かっこいい!自分のものにしたい!と思うギターがあるのと反対に   どうしてこんなカッコ悪いギターを良いという人がいるんだろうか?「自分は絶対にこのギターは買わないなあ」   と思っていたギターがありましたが、その後上京してバンド一筋でやり始めた時の私のメインギターは、まさかのそのギター Gibson SG だったのです。   感覚は変化してくるものです。   どの話も自分のことを象徴する話だと思います。   つまり、私はいつも「その時楽しい」と思うことを、素直に、その時にやってきました。   もし私が自分を曲げない芯を持った人ならば、今もオープンカフェの外で飲んでいる人の意味がわからないでしょう。   もし私が信念を持った人間なら、激しい音楽以外は認めずチャートインする音楽は理解できないかもしれません。   もし私が一つの事をやり遂げる人間ならば、Gibson SG というギターが後にカッコイイと思えても素直にカッコイイと言えず「そのギターはカッコ悪い」といい続けているかもしれません。   つまり私は、全く芯のない人間なのかもしれません。   しかし「いま楽しいことに従う」という意味では、自分を曲げず、信念を持って、一つのことをやり遂げているとも言えると思います。   自分が過去に思ったことと、今自分が思っていること、どちらを選ぶべきでしょうか?   私は迷うことなく、今どう思っているかを選ぶでしょうし、選びたいです。   昔からのスタイルをずっと変えない人は、そのことが本当に今も一番大好きなのだと思います。   過去に思ったことを今も思い続けている。   一見まったく逆に思えるその人も、私と同様に「いま楽しいことに従っている」ということになると思います。   つまり、それぞれの人が色々なスタイルで共に生きており   同じスタンスで「いま楽しいことに従っている」ということです。   お互いを認めるとか認めないとか、ダメになったとか、変わってしまったとか、   同じスタンスなのに、同じ考えなのに、そんな感覚を持つのはおかしいですよね。   なにをやるかも、何をかっこいいと思うかも、自由なのですから。   春菊が大嫌いな少年がいたとします。   少年は「春菊が大嫌い会」を開いて、どれだけ春菊のことが嫌いかを、春菊が嫌いな人同士で話して盛り上がったりしていました。   そんな時に家族旅行で旅館に泊まり晩御飯に出てきた鍋の中に、あの春菊が!   いままでキライだと決めつけていたけど、どれだけマズイか少し試してみるか~「あれ?青臭いと思っていたのにすごく良い香りだな」   何かのきっかけで春菊が食べられるようになり、それどころか大好きになったとします。   そのことを「春菊が大嫌い会」で言おうものなら、裏切り者扱いをされてしまうかもしれません。   そのまま嫌いなことにして、皆で春菊がダメなことについて話し続けるのか。   自分は春菊が大好きになった!と宣言するのか。   今も春菊を嫌いな人は、好きになって変わってしまった人をどう感じるのか。   春菊が好きになった少年は偽物なのか本物なのか。   気持ちに嘘をつくのか?正直でいるのか?   このうちのどれを選択したとしても、それはその人にとって間違いなく「正しいこと」   その人が「何を選ぶのか?」だと思います。   何を選んでも正しいのですから、何を選んだかがその人の生き方になる。   昼間っからオープンカフェでビールを飲みながらこんなことを考えていました。   ありがとうございました。

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