様々な活動をしていく中で20代後半、たくさんの方のお力添えがあり自分たちのバンドでメジャーレコードレーベルからCDをリリースできることになったのです。
その時に出会ったのがそのレーベルのボスである加藤さんでした。
加藤さんは、私の頭の凝り固まった部分を優しい笑顔でゆるめてくれて、大きな力を貸してくれました。
曲作りの面でも、バンドアレンジにすごくこだわっていたいた私に
「アコースティックギター1本で聴かせる最高の歌のメロディーを作ってみようよ」
と助言してくださいました。
アレンジは後の味付けだから歌がしっかりしていないとね。
料理に例えるなら「お皿に気を使う前に中身である料理そのものを真剣に考えよう」という
当たり前のシンプルなことだったのですが、今までのバンド活動で染み付いたクセに埋もれ
肝心なことを忘れかけていた私たちに気付きを与えてくださいました。
その後CDはリリースされ、バンドのスタイルが一変するミニアルバムが全国発売されたのでした。
今の私の音楽制作のスタイルはここから始まりました。
それからしばらくして音楽的つながりがなくなった後でも、私が白血病になってしまった時にもお付き合いを続けていただき
面白がることの大切さを常にその行動によって私に教えてくださったのでした。
はじめに加藤さんに出会った時はメジャーレコードレーベルの偉い方でしたが
知れば知るほどいろいろな側面を持っておられることが分かってきて、どんどん加藤さんに興味が湧いていったのです。
その加藤さんに先日4~5年ぶりに再開しました。
八ヶ岳食工房という生ハムやソーセージを作っている会社を設立され、大変なご活躍をされています。
http://8foods-factory.com/
こだわり尽くした世界に一つだけの日本の発酵技術を使った無添加の商品は
加藤さんたったひとりで八ヶ岳のログハウスで作り出し、八ヶ岳の気候で熟成させ、受注し、梱包して、発送していました。
予約待ちの状態がずっと続いているほどの大人気ですが、八ヶ岳の寒さを利用しているので冬しか製造できないのと、お一人で大切に全てをこなしていらっしゃるのできちんとお届けするには仕方がないのだそうです。
生ハムを製造しパックし販売するには大変難しい超難関の国家資格が必要ですが、それすらも取得したというのです。
最初に出会ったメジャーレコードレーベルの偉い方だった当時には、もう既にハム作りの動きを始めていたというのには驚きしかありませんでした。
そして現在はレコードレーベルの社長や音楽業界は引退し、八ヶ岳に移り住みこだわりのお肉を作り、自分の時間を満喫しながら、たまに東京都内の大学で教鞭をとっているそうです。
目の前に本当に楽しいことだけで輝き続けている人がいる。
そのことが自分にとってどれだけ重要なのかを会うたびにいつも感じさせていただきます。
音楽でも生き方でも加藤さんは私の師匠です。
59歳の加藤さんはまるで少年のようにキラキラした目で、私に楽しいこと面白いことをお話ししてくださって、そして話を聞いてくれます。
「人生はこんなにもいろいろなことができるのだ」
ありがとうございました。